研究概要 |
画像や音声など数多くのセンサ情報に基づいて行動を決定していく知能ロボットにとって,各モダリティー情報間の時系列的な相互相関関係を記述し記憶しておくことは,状況の予測・認識や自律行動生成などにとって欠かすことのできない要素である.本年度では,このような目的を果たすシステムの構築のため,人間や一部のサルの脳内で発見されているミラーニューロンの性質を参考とし,運動パターンと感覚情報の双方を同時に取り扱い,状況に応じた動作の認識・学習・記憶・想起が可能な,マルチモーダルミラーニューロンモデルの数理工学的な設計論の展開と,実際のヒューマノイドロボットへの応用を可能としるシステム構築を行った. 基盤となる統計処理部には連続分布型隠れマルコフモデルを採用し,従来までに構築されてきていた,運動動作を扱うミラーニューロンの工学モデルを拡張することで,運動動作だけでなく,音響情報,動画像情報,手先位置,力センサ情報などのマルチモーダルな感覚運動情報を扱う事のできるシステムを構築した.また,未知の環境下で適応的に行動を生成するための足がかりとして,学習に用いた既知動作のみを認識・再生するのではなく,既知動作の組み合わせとして新規動作を認識し,さらに動作の組み合わせを行う事で新規動作の生成の手法を提案し,実験を通じてその有効性を検証した.さらに,ヒューマノイドロボットを用いて未知環境下での行動適応実験を行うための機構部品を購入し,実験の基盤システムを構築した.
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