人のターゲット追従を用いた視覚一運動研究によって、人間が身につけている先行制御は動的エラーを最適化していることが実験とモデルから明らかにした。 本研究課題採択以前に行った研究で、PC画面上の直線を調和振動するターゲットをマウスで追従する運動の詳細な分析結果によると、0.4Hz以上1.8Hz以下の運動に対しては手の位相はターゲットの位相を統計的に先行することを明らかにしている。同時に、人の追従運動がなぜターゲットを先行するかは、そのことにより、ターゲット運動の突然の変化に対してトランジェントの追従誤差の量を最小化することができるためであることを明らかにした。 今年度は、カーブのある走行路を持つコンピューターグラフィック運転システムを用いて、安全運転のために、多くの被験者は、道路の変化位相に比して運転の軌跡は先行していることを示した。また、老齢者の運転は、危険の意識がより強いため、この傾向が強くなることも判明した。 次に、PCの円周上を運動するターゲットの視覚追従運動において、周波数が大きくなるにしたがって眼球運動が円運動よりは水平に長い楕円軌道を描くようになり、その結果追従する手の運動は2倍の好調波成分を持つこと、この成分は視覚一運動制御のフィードフォワードに対応し、広い周波数帯を持つパックグラウンドはフィードバック成合に対応すること、さらにとの両成分の間には相補性が成り立つ可能性があることを示唆するデータを得た。 最後に視覚-運動系のモデル方程式のTranjent Solutionを求めることに成功し、先行制御メカニズムのUniversalityを証明した。
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