研究課題
前年度までにターゲット追従を用いた視覚-運動系の研究によって、人が先行制御メカニズムを身につけて、動的エラーを最適化していることを示すことができた。しかし、先行制御のメカニズムとして必要な予測機能がどのような条件で動作するかを理解することが必要である。今年度は、等速円運動を行うターゲットに生じる予測機能がこれまで用いたモデルでは表現できないことをうけて、新たに、リズム発生と予測の関係をまず明らかにすること。次にリズムと関連つけた予測機能がヒトーヒト間相互追従実験にどの負うな役割を果たすかを明らかにすることであった。得られた結果を以下に記す。1)先行制御は変化する環境に対応するために重要な移動知のひとつであるが、本研究で実験的に明らかにしたことは、環境の変化速度を認識・計測して、予測機能を働かせるためには自発的なリズム成分の生成が必要であるらしい。環境に色彩を配したり音刺激を付加したりして複雑化しても、自発的リズム成分が一定の強度以上存在しないで、先行性が出ている実験例は見つかっていない。自発的リズム成分が強くなると先行性も強化され、その両者には実験系にかかわらず一対一の関係が存在する。2)関連して、コミュニケーション成立条件にも一定以上のリズム成分が必要であることを班会議などではすでに発表している。(ただしこの閾値はここで示した110%より小さい値であることが分かっている)。ここにもコミュニケーション成立のためにはリズム成分を通して先行制御と関係していることを示唆している。この見通しは来年度以後に明らかにする予定である。3)また、この研究では、先行性出現の必要条件としてリズム成分の自律発生を示すことができたが、リズム成分の発生原因については言及していない。このことについても来年度の研究で明らかにする予定である。
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Physical Review E75
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