研究課題
近年、脳科学の知見に基づく運動学習モデルをロボットに組み込み、その行動の変化の過程から認知発達過程を理解し、システム論的に脳のモデルを解釈する試みが行われている。特に、運動と認知との密な関係性を示唆する知見が提供されるなか、認知発達過程における身体の役割は重要である。本研究では、脳科学の知見に基づき、知覚情報と運動指令に関する高次機能を担う頭頂葉及び大脳基底核と、身体の動力学的特性に関する低次機能を担う第一次運動野及び第一次感覚野を対象に、前者は強化学習を行う人工神経回路網として、後者は自己の身体モデルを学習する人工神経回路網としてモデル化した。このモデルを用い、高次と低次の並行的な学習を通して、身体モデルを獲得した上で、目標運動軌道を生成し得るのか検証を行うこととした。具体的には、4自由度のワイヤ拮抗駆動型ロボットアームを用い、台の上に置かれたボールを転がすタスクを与えた。このタスクを反復試行させ、高次機能を担う人工神経回路網にはボールの転がりを報酬とした強化学習を行い、低次機能を担う入工神経回路網には身体の関節に加えるトルクと関節角度の関係を学習させた。実験の結果、学習初期においては自己の身体モデルの学習が未熟なため所望の運動軌道を生成できない。しかし、学習回数を重ねるにつれ、低次の人工神経回路網に身体モデルが学習され、高次の人工神経回路網の運動指令に従った運動軌道が生成されることが示唆された。
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IEEE Trans. on Systems, Man, and Cybernetics Part B: Cybernetics Vol.38,No.1
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