本年度はバイオ操作システムの構築を行いそのシステムを用いたバイオ操作への適用と検証実験を行った。多くのバイオ操作アプリケーションでは高精度のマニピュレーションとセンシング能力を持つマルチスケールシステムが要求されている。本研究グループではスイス連邦工科大学との緊密な共同研究体制を構築し、3台のnm以下の位置決め精度を持つロボティックマニピュレーションシステムを構築した。 センシングに関しては、高精度・広範囲での微少力センサの開発のため、ナノロボティックシステムを用いて3次元ナノベルトのピエゾ特性の究明に成功した。さらに、そのピエゾ特性を用いNEMSカセンサデバイスの開発を行っている。光学顕微鏡を用いたシステムから、電子注射顕微鏡(SEM)でのボトムアップナノロボティックアセンブリが可能なシステムへの拡張を行った。その際必要不可欠であるナノウェルディング技術などの検証実験を行い、コンタクト抵抗の低下という成果を生み出すことができた。 また、ストレスフルな電子顕微鏡の下でのナノマニピュレーションをより効率かつロバストに実現するため、3次元ナノベルトの両端に強磁性と高い電気伝導性をもつCr/Ni/Auメタルコネクタをドーピングし、ヘルムホルツコイルセットアップにて、外部電磁気場を用いた作業支援実験を行い、人間の操作性を向上させた。 システムのバイオ操作への応用として、FibronectinファイバのPullingとその際の力をuN精度を持つMEMS力センサを用いて計測した。現在、これらの力情報を用いたファイバの自動パターニングを行っている。
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