研究概要 |
本研究は,細胞と部分的に接合して得たエネルギーを駆動力とする人工細胞ネットワークの構成を目的とする.具体的には,細胞との間に物質交換チャネルを形成する膜タンパク質と細胞接着因子とを提示させる機能を示す構造として,相互に連結され固定化されたリポソーム・ネットワークを構築する.この構造は培養細胞群の表面に付着して個々にチャネルを形成し,化学物質の交換によって細胞から流入したATP等の小分子を利用することでリポソーム内に封入された反応系を連続的に進行させうると考えられる.本年度は,膜タンパク質発現系を封入したリボソームの安定な条件を求めた.申請者らは,巨大リポソーム形成条件において糖脂質ガンダリオシドやコレステロールの共存によりネットワーク構造が安定化されること,さらにアガロースゲル存在下ではネットワークがゲルの網目内に固定化されることを報告してきており,このリポソームネットワークの安定性および内封される生化学系の保持特性についての調査を行った.その結果を国際会議MHS2006にて報告している(Best paper award受賞).また,リポソーム表面を機能化するために,チャネル膜タンパク質コネキシンを無細胞的に発現させ,リポソーム膜上に直接構成する実験系を確立し論文投稿中である.
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