研究課題
これまで生物の持つ一部の機能をロボットに搭載した例はあるが、細胞レベルから組織構築まで、マルチスケールにわたって、機械システムに適用しようとした試みはない。そこで、我々の研究グループでは、生体細胞と機械を融合させることによる生命機械システムの例として、ラット心筋細胞の自律的拍動を利用したバイオアクチュエータを創製してきた。本研究では、様々な生体組織や細胞を用いて、再構築をおこなうことにより、新たなアプローチによる微小生命機械システムを提案する。今年度は、その例として、カイコより器官や組織を抽出し培養を行った。カイコより背脈管と翼状筋を摘出し組織培養することに成功した。また、摘出した背脈管は、摘出後2日間活発な拍動をみせた。翼状筋は、ゆるやかではあるものの、3週間以上に渡って、拍動を続けた。これらの組織や細胞を使うことにより、外部制御デバイスを必要とせず、培地中のグルコース等に含まれる化学エネルギーのみで、温度の管理の必要なく、自律的に駆動するデバイスを創製できる可能性が示された。また、生命機械システムのための第一歩として、細胞を壊すことなく分離することに成功した。今後、これらの細胞を、マイクロファイバーへの接着や、シート化をおこなうことにより、微小生命機械システムの駆動源として、また、筋肉組織に限らず知覚器官の細胞を摘出、解離し培養することにより、高感度なセンシングデバイスとして、微小生命機械システム構築が可能になると考えられる。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Proceeding of the 2006 International Symposium on Micro-NanoMechtronics and Human Science, Nagoya, Japan, November, (2006)
Proceeding of the East Asian Biopysics Symposium & Annual Meeting of the Biophysical Society of Japan, Okinawa, Japan, November, (2006)