本研究はPDMSを用いて作製したマイクロチャンバーに、研究代表者が開発した、10μmレベルからmmスケールまでマルチスケーラブルな新しいセンシング技術、マイクロアレイ型化学・バイオセンサ及び高解像度2次元SPRイメージングセンサを装着し、直径が10μm(細胞数約1個)、100μm(細胞数約100個)、1mm(細胞数約10000個)の3種類の細胞数・空間スケールにおいて環境変化に対する細胞応答がどのように異なるかを評価するものである。1年目は、DNAチップ用スライドガラス上に、FITCをスポット固定化したpHセンサ、ルテニウム錯体を固定化した酸素センサの2種類の細胞活性測定用マイクロアレイ型化学センサ、及び細胞が分泌するアルブミンを計測する高解像度2次元SPRイメージング免疫センサの高性能化を図ると共に、PDMSを用いた細胞チャンバー作製の基礎実験を行った。その結果、マルチスケールpH、酸素センサについては、カーボンブラック添加エポキシ樹脂の採用で酸素・光不透過のマイクロウェルの形成が可能になり、従来のPDMSを用いたウェルのような周辺への干渉なしに、生細胞1個の入っているウェルのみ識別可能になり活性の差異が検出可能になった。また2次元SPR免疫センサについてはヒト血清アルブミン測定を行うと共に銀をベースとする新しいセンサ薄膜の開発により微小ウェル中での感度、解像度を飛躍的に向上させることができた。
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