研究概要 |
細胞-個体周辺の極微小空間での環境を制御・計測するために,分子レベルでの加工・計測技術に基づいたマイクロ・ナノツールの創製が求められている.本研究では,本申請者らがこれまで構築してきた走査型・透過型電子顕微鏡下でのハイブリッド・ナノマニピュレーションシステムに加えて,環境制御型電子顕微鏡(ESEM : Environmental-Scanning Electron Microscope)下でのナノマニピュレーションシステムを構築し,これに基づいたナノツールのバイオ応用について検討を行っている.これにより,バイオ応用を目指した新規ナノツールを作製し,各種応用課題について検討することを目的としている. 本年度は,これまで本申請者らが構築してきた走査型・透過型電子顕微鏡下でのハイブリッド・ナノマニピュレーションシステムに加えて,環境制御型電子顕微鏡用マニピュレータを設計・製作した.基本的な設計はこれまで本申請者らが構築してきた走査型電子顕微鏡下でのマニピュレータに基づき,多自由度・多プローブ型ナノマニピュレータを構築し,合計3ユニット,回転自由度を有した合計7自由度のナノマニピュレーションシステムを構築した.また,環境制御型電子顕微鏡に水分を含んだ状態の生物試料として,大腸菌,ビブリオ菌,イースト菌などを導入し,高真空モードやESEMモードと呼ばれる圧力,温度条件を制御することによる含水状態での形体観察を行い,環境制御型電子顕微鏡による生物試料観察の有効性について検討した.また,カーボンナノチューブを用いたナノツールとして,カーボンナノチューブプローブを作製し,この機械的な特性を評価すると共に,カーボンナノチューブと基板間の固定手法として,低融点金属微粒子を応用した手法を提案し,有効性について検討した.
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