平成19年度は申請書の実験計画通り、以下の通りに進めた。 1.磁力を用いた肝実質細胞一線維芽細胞からなる共培養細胞シートの構築 線維芽細胞(NIH3T3細胞)と肝癌細胞(HepG2細胞)に磁性ナノ粒子を取り込ませて磁気ラベルし、それぞれの細胞を、磁石を設置した超低接着性培養皿に播種した。播種された細胞は、培養皿底面に接着することができないために、細胞間で結合・接着をはじめて、NIH3丁3細胞とHepG2細胞からなる共培養三次元組織を形成した。この三次元共培養により、HepG2の肝機能の一つであるアルブミン分泌能が向上したことから、我々の開発した「磁力を用いる細胞の磁気操作法」により、機能する三次元組織の構築に成功した。 2.血管内皮細胞がパターン化された細胞シートの構築 磁力を用いた細胞のパターニング技術を基盤にして、血管内皮細胞を含む細胞シートの構簗法の検討を行った。具体的には、(1)磁力を用いて線維芽細胞シートおよび筋芽細胞シートを作製し、(2)磁石をマイクロパターン化磁石(幅200μm)に取り替えて、細胞シートの上に磁性ナノ粒子で磁気標識した血管内皮細胞を播種した。結果として、それぞれの細胞シート上に、磁石の形状と同様の200μm線状に血管内皮細胞をパターンすることに成功した。このことから、我々の開発した「磁力を用いる細胞の磁気操作法」により、パターン化された血管内皮細胞を含む三次元組織の構築に成功した。 以上の結果より、磁力を用いる細胞の磁気操作法は、ティッシュエンジニアリングにおける有用な技術であると考えられる。
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