研究課題/領域番号 |
18048025
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
水野 彰 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (20144199)
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研究分担者 |
桂 進司 群馬大学, 工学部, 教授 (10260598)
高島 和則 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (60303707)
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キーワード | 1分子観察 / DNA合成 / 蛍光観察 / マイクロマニピュレーション |
研究概要 |
本研究では生命の維持に不可欠な生化学反応であるDNA複製の解析に蛍光顕微鏡を用いた1分子イメージングを適用することを目的とした。DNA合成あるいはDNA複製装置の1分子動態解析技術は、DNAポリメラーゼをはじめとするDNA複製装置に関わる各因子の詳細な挙動、さらには複製装置全体のダイナミクスを明らかにするものと期待される。申請者らはこれまでに1分子DNAの物理的微小操作技術および蛍光顕微鏡視野内でのDNA-タンパク質間相互作用の1分子解析技術の開発を行ってきた。18年度はまずDNA合成反応の可視化で必要となる1本鎖DNAを蛍光顕微鏡視野内で調製することを試みた。具体的には、微細流路中で蛍光染色した2本鎖DNAを伸張させ、DNA消化酵素exonucleaseIIIにより消化した。その結果、可視化された直鎖状DNAの鎖長がDNAの消化に伴って減少していくことを1分子レベルで実時間観察することに成功した。また得られた1分子計測の結果から消化速度を求めたところ、試験管内の実験で得られた消化速度と異なる値となった。ここで、それぞれの実験系におけるDNAの形態に着目すると、試験管内の実験においてDNAはブラウン運動によりランダムな形態をとるのに対し、1分子実験系ではDNAが伸張されている。このことからDNAの形態が消化速度に影響を及ぼすことが考えられ、この関係を調べる実験を進めたところ、DNAの形態の違いが消化速度に関与していることが1分子観察により直接証明された。このことから、DNAの形態がDNA合成反応や複製反応にも関与することが容易に想像できる。超らせん構造を含めたDNAの高次構造とDNA複製反応の関係を明らかにすることは本研究の最重要課題のひとつであり、本年度行った研究成果はそれを解明するための基盤技術になると考えられる。
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