研究課題/領域番号 |
18048029
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小此木 孝仁 京都大学, 医学研究科, 助手 (90402833)
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研究分担者 |
加畑 博幸 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70293884)
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キーワード | フェムト秒レーザ / キャビテーション / 細胞膜の切開 / 細胞膜の平面展開 / 細胞膜内側構造の開放 / 細胞膜アレイ / ガンマーカーの検出 / 単一細胞からのミトコンドリア |
研究概要 |
マイクロ加工技術とフェムト秒レーザパルス照射技術を導入して、細胞膜を基板上で切開して内側構造を開放するチップアレイ技術を開発した。 遺伝病やガンの判定基準として、細胞膜内壁に裏打ちされているタンパク質(c-erbB2タンパク質など)の平面分布や、病状を示す細胞特異的現れる異常性オルガネラ(ミトコンドリア)を検出することが行なわれている。しかし膜裏打ちやミトコンドリアは細胞内部に秘匿されているため外部から直接走査することが困難である。また、細胞膜は光無吸収性・応力抵抗性であるためにレーザにより細胞膜を切開し基板上で切開して内側構造を開放することが困難である。 本プロジェクトでは、微細孔を設けたガラス基板の孔上に細胞を吸引固定し配列させた後、フェムト秒レーザを固定した細胞内に照射し細胞内に発生させた気泡により細胞を破裂させ、その細胞膜を気泡により基板上に押し付けることで平面状に展開することを実現した。さらにヒト肺ガンの培養細胞であるKJ細胞の細胞膜の平面展開においては、その細胞のガンマーカーであるc-erbB2の検出に成功した。また一方で、フェムト秒レーザにより細胞膜に穴をあけ細胞内のオルガネラを溶液中へ放出させることに成功しており、レーザを照射した単一細胞のみからミトコンドリアが溶液中へ放出させる様を蛍光染色したミトコンドリアを用いて確認できた。 この技術は細胞切開による細胞膜アレイならびにμTAS内での細胞の切開、オルガネラの抽出への利用など医療診断技術への応用が期待される(特許出願中)。この細胞膜の切開、平面展開は球状の浮遊細胞を基板へ固定しフェムト秒レーザによるキャビテーション(気泡の発生)により実現させたことに本研究の新規性がある。
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