研究概要 |
将来的な大規模分散情報共有・配信の基盤をコンテンツ配信ネットワーク(以下CDN)とピアツーピア(以下P2P)を有機的に統合する形で,しかも適応系として構築することを目指して,過去の研究成果も踏まえて,本年度は以下のような成果をあげた.(1)負荷変動に自律的に適応するためのトポロジーの動的最適化,ならびにコンテンツ配置の動的最適化について,P2Pネットワーク,さらに関連の深いアドホックネットワーク上で実現する方式を構築し,シミュレーション実験で有効性を検証した.成果は論文2件(他に投稿準備中3件)として結実した.(2)CDNの動的再構成への予備的な応用を試み,複数サーバの負荷変動にも対応できる動的拡大縮小や再構成の能力を持たせる方式を構築して,シミュレーション実験で有効性を検証した.成果は論文3件(他に投稿準備中1件)として結実した.(3)分散情報共有における信頼性確保のための効率的な方式について検討した.成果は論文1件(他に投稿準備中1件)として結実した.(4)動的に変化する,ないし動的に生成されるコンテンツの分散共有・配信について,重要性をますます増している状況を受け,効率的な方式の予備的な検討を,分散共有メモリや分散データベースの既存の成果も踏まえる形で行った.(5)アクセス誘導に用いるDNSの負荷変動とサーバ負荷変動との関係について重要な知見が得られたので,それに基づくアクセス誘導方式の効率化について予備的な検討を行った.分散システム設計に係わる最先端ソフトウェアツールの調達で,物品費が当初の予定を上回ったが,その寄与もあって,以上のように,予想を越える複数の新たな成果が得られた.
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