研究分担者 |
竹村 彰通 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (10171670)
室田 一雄 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (50134466)
山本 有作 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20362288)
直野 健 株式会社日立製作所, 中央研究所, 主任研究員 (20421935)
片桐 孝洋 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 助手 (40345434)
|
研究概要 |
情報爆発時代のソフトウェアは,質・量とも爆発的に大きくなる情報を技術と社会に活かすため,同様に爆発的に拡大する計算・通信・記憶資源の多様性に適応する能力(自動チューニング機能)を備えなければならない.我々は柔軟かつロバストな自動チューニング機能を有するソフトウェア開発するための数理的基盤技術の開拓を日指して以下の研究を行った. 1.実行時自動チューニングのための最適実験計画では,ベイズ統計に基づく最適解を大規模な数値計算により求め,優れた性質を持つことを示した. 2.計算機性能のためのモデルとして,キャッシュあふれやライン衝突などを考慮した性能モデルを構築した.また,AICによるモデル選択が一定の有効性を示すことを確認した. 3.分割表の検定に用いるMCMCの基底の研究を展開した.これは,従来困難であった多様な統計的解析を効率的に実現するものである. 4.M凸関数の概念をジャンプシステム上に拡張し,離散凸解析の研究をさらに展開した.これにより,マトロイド,デルタマトロイド,基多面体での知見を一般化した. 5.固有値解法であるマルチシフトQR法の性能モデルを構築し自動チューニングへの見通しをつけた.また,対称行列の三重対角化の手法について,その優劣がシステムや問題によりどのように変化するかについて系統的に調査した. 6.行列計算に関する自動チューニングのサーベイを行い,その動向を明らかにし,既存研究で残された課題を明らかにした. 7.分散メモリ並列計算における集団通信について,網羅的なアルゴリズム列挙法を開発した.特に本年度は2のべき以外のマシン数に適応した. 8.固有値問題の解法のうち,多固有値多分法について,実行時自動チューニングの手法を開発した.この結果は次期LAPACKに収納される予定である. このように,我々が目指す数理基盤の基礎をなす重要な研究成果が得られた.
|