本研究は、オープン・ネットワーク上で企業や消費者などがコラボレーションや取引を活発におこなう「場」となるプラットフォームの構築と運営に影響を与える諸要因のメカニズムを明らかにすることを目的としている。具体的には、(1)社会に偏在する断片的な情報を持つ諸企業や諸個人を集めてくる仕組み、(2)取引や協働作業にとって必要な情報が経済合理的に開示・共有される仕組み、以上の2つの仕組みの促進や阻害にかかわる要因を明らかにすることによって、情報共有に基づいて相互作用を生み出す場(仮に『情報共有プラットフォーム』と呼ぶ)をネットワーク上に構築し運営していくために必要な知見を得ることである。 本年度は下記の課題に取り組んだ。 (1)企業間情報共有プラットフォームの研究 第一に、技術開発者が技術の応用可能性を開拓する際に誰にどのように可視化して説明しているかについての実態調査をおこない、技術の可視化にとって効果的な方法や要因を明らかにした。 第二に、バーチャル中古車オークションのプラットフォーム企業であるオークネットの事例研究をおこない、ケースを作成し公開した。 (2)企業対消費者および消費者間情報共有プラットフォームの研究 第一に、情報共有を促進するメディア環境の変化を受けて企業のコミュニケーション戦略がどのような影響を受けるのかについて先行研究レビューと理論的検討、および事例研究をおこない、新たなデジタル・インタラクティブ・メディアを活用することによってもたらされる効果として5つの要因を抽出した。 第二に、消費財企業の顧客コミュニティの事例研究に着手し、当該企業と共同研究の枠組みを構築し、データ収集と分析を開始した。
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