研究課題
1.前年度までに明らかにした、FBP17のF-BARドメイン内における点突然変異L7E、F11EおよびH17Dについて、COS7細胞内への過剰発現実験を行った。野生型のFBP17タンパク質の過剰発現では、細胞の陥入によるチューブ状膜構造の形成が誘起されたのに対し、いずれの変異体もこれらの膜変形活性を失っていた。これは前年度に明らかにしたin vitroでの膜変形アッセイの結果を支持するものであり、FBP17のF-BARドメイン内においてリン脂質結合と膜変形それぞれに関与するアミノ酸の存在を示唆するものである。2.前年度に確立したBARドメインとF-BARドメインの同一膜チューブ上への局在について、さらに多くのタンパク質を用いて検討を加えた。その結果、まずF-BARドメインを持つタンパク質については少なくとも(1)FBP17/CIP4サブファミリー(2)Syndapinサブファミリー、(3)PSTPIPサブファミリーの3つのグループが存在し、これらはCOS7細胞内での共発現によって誘導されるチューブ上において別個の局在を示すことが明らかとなった。さらにBARドメインタンパク質との詳細な局在比較から、意外なことにAmphiphysin (BAR)とPSTPIP(F-BAR)が高度に共局在することが明らかとなった。これらの結果は、同じF-BARドメインファミリー内においても、エンドサイトーシスのそれぞれのステップで異なる細胞膜の曲率を認識する、もしくは作り出すサブグループに分業化されることを示唆している。またF-BARファミリーとBARファミリーの間でも共通の膜曲率を認識するサブグループが在し、これらが特定の膜変形ステップにおいて協調的に作用すると考えられた。
すべて 2007
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Cancer Research 67(20)
ページ: 9666-9676