研究課題/領域番号 |
18050010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 昌之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50212254)
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研究分担者 |
加納 ふみ 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (10361594)
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キーワード | 小胞体 / セミインタクト細胞 / オルガネラ / 可視化 / ゴルジ体 / 小胞輸送 / 再構成 |
研究概要 |
ER exit sites(ERES)は、小胞体(ER)からゴルジ体へ向かう輸送小胞の形成プラットフォームである。われわれは先行研究により、膜タンパク質であるYip1AをERESのマーカー膜タンパク質とし、M期におけるERES構造体分解の制御機構を明らかにしている。本年度は、以下に示す3つの結果を得た。 1.Yip1A-GFPは、CHO細胞ではERESに局在したが、HeLa細胞においては主にゴルジ体に局在化することが判った。間接蛍光抗体法では、その局在はcis-ゴルジ体のマーカーであるGM130やtrans-ゴルジ体マーカーであるp230と部分的に共局在した。 2.分割ユビキチン膜タンパク質酵母two-hybrid法を用い、Yip1A全長をベートにして相互作用分子を探索し、候補分子としてGRASP-55を得た。GRASP-55は、ゴルジ体層版のスタッキングに関わるとされている表在性膜タンパク質である。HA-tagを融合させたGRASP-55をHeLa細胞に発現させYip1A-GFPとの共局在を調べるとゴルジ体付近に関してはほぼ共局在が観察されたが、ERES構造では全く共局在は観察されなかった。また、免疫共沈実験を行ったが、生化学的には両蛋白質の結合は観察されなかった。 3.ERESに局在化するYip1Aの形態に攪乱を与えるキナーゼを探索するため、先ず、18種類のキナーゼ阻害剤を用いてキナーゼのタイプを絞り込み、続いて、ヒトキナーゼsiRNAライブラリーを用いて特定のキナーゼ分子をRNAi法を用いて網羅的に探索した。その結果、diacylglycerol kinase ε、diacylglycerol kinaseζ、casein kinase Iαなどを得た。これらのsiRNA処理により、ERESに局在するYip1A-GFPは小胞体ネットワーク中に拡散したが、ERESの別のマーカーであるCOPIIコンポーネントの一つSec13のシグナルに変化が観察されなかったことより、これらのキナーゼはERES構造体の攪乱を誘起したのではなく、むしろERES膜ドメインにYip1-GFPを繋留しておくための装置がこれらキナーゼにより制御されていることが予想された。
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