歯周病細菌の宿主細胞内侵入経路および、細胞内侵入後の同菌の細胞内動態につき検討を加えた。オートファジーが細胞内に侵入した細菌を駆逐する分子メカニズムについても検討を加えた。その結果、下記3つの知見が得られた。 1.歯周病細菌P.gingivalisの細胞侵入に関与する宿主因子は、リピッドラフト、α5β1インテグリン、small-GTPaseのRacl、アクチン、微小管の他、アクチンの再構築やエシドサイトーシスに関わる分子であった。 2.エンドサイトーシス経路を利用して細胞内に侵入した歯周病紬菌は、一部は後期エンドソームに包まれたまま分解されてしまうが、一部は初期エンドソームから脱出し、細胞質内に留まる菌と、オートファジーによって殺される菌とがあることが示された。このオートファジー誘導のメカニズムについては明確な結果が得られなかった。今後の研究課題である。 3.歯周病細菌の細胞侵入に不可央な線毛には6つの遺伝子多型が存在し、II型線毛遺伝子をもつ菌株は効率よく歯周細胞に侵入し、強力な細胞機能傷害と細胞死を引き起こすことを示した。
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