研究概要 |
1.哺乳類細胞においてクラスリンアダプタータンパク質であるGGA(Golgi-10calized,γ-adaptin ear homology, ADP ribosylation factor binding protein)1,2,3の特異的機能を探る目的で、RNAi法によりそれぞれのGGAを発現低下させたHeLa細胞株を樹立した。特にGGA2ノックダウン細胞に関しては正常の5%以下の発現を示す細胞株が得られた。同細胞株ではGGA1/3の発現低下は見られず、局在にも大きな変化が見られないことから、他グループが提唱するGGA1,2,3の相互作用と細胞膜への局在機構との関係は必ずしも重要ではないことが示唆された。一方、GGAsが制御するカーゴタンパク質であるMPR(mannose 6-phosphate receptor)の局在にも光学顕微鏡レベルでの大きな変化は見られなかったが、リソソーム酵素のカテプシンDが細胞外へミスソートされていた。今後、電子顕微鏡レベルでCIMPRの局在を解析する予定である。 2.リソソーム酵素の輸送不全状態を解析するために、GGA2ノックダウン細胞で発現変化が見られるタンパク質をDNAマイクロアレイ解析により抽出した。今後、いくつかの新規タンパク質について解析する予定である。 3.GFP-CIMPR(cation-independent MPR)のライブセルイメージング解析、クロロキンおよびU18666Aの投与実験、I-cell病線維芽細胞を用いた実験により、CIMPRの細胞内輸送には細胞質外ドメインの存在およびリソソーム酵素の結合に依存した各ステップが存在することを明らかにした。この結果は論文として発表した。
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