研究課題/領域番号 |
18050037
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
今本 尚子 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 主任研究員 (20202145)
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研究分担者 |
前島 一博 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 研究員 (00392118)
船越 智子 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 協力研究員 (90318460)
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キーワード | 核膜孔複合体 / 核膜 / 細胞周期 / 超分子構造体形成 / 生細胞イメージング / 脂質2重膜 / メンブレントラフィック / Photo-bleaching |
研究概要 |
核膜孔複合体は核膜に存在する総重量125MDaに及ぶ超分子複合体である。ヒト培養細胞を用いた核膜孔の挙動の解析から、核膜孔複合体は細胞分裂終了時に構築されるだけでなく、細胞周期の進行に伴って間期核でも倍加することを確認した。2層の脂質膜に、核膜孔複合体のような巨大な構造体が構築されるメカニズムは全く明らかにされていない。本研究では、1)間期核における核膜孔複合体形成をlive観察で捉えることのできる実験系の樹立、2)複合体の前駆体構造の実体を明らかにする、3)核膜孔形成にメンブレントラフィックがどのように寄与するのか、の3点に焦点をあてて解析をおこない、核膜孔複合体形成機構を明らかにすることを目指す。本年度は、核膜孔複合体の土台の1つとなるNup133、複合体の主要因子Nup62、核質側バスケット構造のNup153、核膜と複合体をアンカーするPom121の各々を蛍光タンパク質と融合させて発現した細胞株を用いて複合体形成過程を捉えることのできる実験系の樹立を試みた。細胞分裂後2〜4時間の時点で蛍光bleachすると、その後の6時間の間に核膜上に新たな輝点が出現することがわかった。この現象は、1細胞周期以上のturn-over rateをもつNup133-Venusで認められることから、出現した輝点は、核膜上に形成された新たな核膜孔複合体であると考えられる。細胞周期を同調させて得た知見から、核膜孔複合体が特定の時期に形成することが示唆された。また、細胞周期を通したLive観察からは、核膜上に核膜孔複合体が形成される時期に細胞質に複数の輝点が現れることがわかった。そのタイミングから、細胞質の輝点が核膜孔複合体の前駆体構造である可能性が考えられる。核膜孔形成過程を捉える実験系が樹立できたことと、前駆体構造を捉える可能性ができた点については、手応えのある成果が得られたと考える。
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