蛍光1分子顕微鏡システムは、蛍光励起用のレーザー光の入射位置をPC制御でシフトすることにより、照明方法を全反射照明法(TIR)から薄層斜光照明法(HILO)そして落射照明法(Epi)へと変化させることができる。薄層斜光照明法は、細胞の厚みよりも薄い6〜10ミクロンの幅で、細胞内部だけを薄層状に照明することにより、背景光を抑えると同時に、シグナル画像強度を増すことで、シグナル/ノイズ比の高いクリアな1分子蛍光画像を得られる特徴がある。蛍光ビーズを用いた計測により、通常用いられる落射照明法に比べ、約7倍のシグナル/ノイズ比が得られることが分かった。細胞表面での1分子観察に用いられる全反射照明法を補うことが可能である。顕微鏡のステージPC制御によるフォーカスコントロールとあわせてPC制御することにより、細胞表面と細胞内部の任意の深さを瞬時に切り換えることができ、それぞれの場所での最適な観察と同時に、3次元イメージングが可能になる。 このシステムを用いて核膜輸送タンパク質importin βと蛍光タンパク質GFPの融合タンパク質の3次元イメージングを行った。数十分子程度のGFP-importin βが結合した核膜孔の3次元画像を得ることができた。さらにGFP-importin βの1分子イメージング解析により、GFP-importin βの核膜孔滞在時間、結合定数などの定量解析を行った。
|