研究課題
ヒストンメチル化酵素G9aの生殖細胞特異的破壊マウスを樹立するため、Tissue Non-Specific Alkaline Phosphatase (TNAP)の遺伝子座にCreをノックインしたマウスとG9aのコンディショナルノックアウトマウスを交配し、最終的に生殖細胞特異的にG9aを欠損させるマウスを樹立した。得られた生殖細胞特異的G9a欠損マウス雄を複数の野生型の雌と自然交配させたが、調べたすべてにおいて不妊であった(n=8)。生後1週のG9a欠損精巣では顕著な変化は認められないが、2週、3週では明らかに精子形成過程の不全が認められた。すなわち、G9a欠損の精巣では未分化なspermatogoniaと、ある程度の分化したspermatocyteは存在していた。組織像を詳細に解析した結果、Early pachytene spermatocyteの段階で細胞死が誘導されていた。以上のことから、精子形成において、第一減数分裂期の相同染色体が正しく体合するためにG9aは必須であることが分かった。次にG9a欠損の雌の表現型を調べるべく、野生型の雄と交配した。その結果、不妊のマウスと子供を作れるマウスの2種が存在することが分かり、その比率は3:1であった(n=12)。妊娠可能なマウスにおいて、生まれてくる仔の数は1回の平均でおよそ3匹程度と少なく、また、生涯の出産回数も1〜3回程度と顕著に減少していた。卵巣切片の解析により、G9a欠損の成熟雌は野生型の10分の1以下の数の卵子しか保持していなかった。このことから、やはり卵子の成熟過程にもG9aが重要な機能を担っていることが示された。さらに詳細に解析した結果、卵の減数分裂過程においても、pachytene期で細胞が大きく減少することが確認された。以上の成果を論文にまとめ、投稿中である。
すべて 2006
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Genes to cells 12
ページ: 1-11
Genes to cells 11
ページ: 1305-1315