研究概要 |
卵成熟過程における一次インプリントの獲得機構に関してマウスSnurf-Snrpn遺伝子(以下Snrpnと略)に焦点をあて平成19年度も解析を進めた。Snrpn DMR1領域のDHS2に存在するCAS(conservedactivator sequence)は、配偶子ではメチル化を受けていないが、着床後の胚発生過程で両アレルとも二次的にメチル化を受けており、例外的に脳では、父親アレルのみがメチル化を免れていることを平成18年度に報告した。ヒトCASはSNRPN上流のプロモーターのエンハンサーとしての機能を持つ事が知られていることから、マウスCASのエンハンサー活性とDNAメチル化による活性の変化をルシフェラーゼ活性にて解析した。マウスCASはヒト同様にSnrpn上流のプロモーターのエンハンサー活性を持ち、CASのメチル化によりエンハンサー活性が約1/4に減少する事が判明した。マウスCASはヒトと異なり発達期依存的及び組織特異的にメチル化を受けるが、そのメチル化に依存してSnrpn座位より発現するSnrpn、IC-transcriptの発現が調節されていると考えられる。特にマウス卵においてはCAS,U2エキソンは非メチル化していることから、エンハンサーCASによるIC-transcriptの発現が卵成熟過程におけるSnrpn DMR1領域のDHS1(Snrpnプロモーター)のメチル化に関与している可能性が強い。今後CAS領域をふくむノックアウトマウスを作成し、卵におけるSnrpn、IC-transcriptの発現と卵におけるメチル化獲得機構を解析する予定である。
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