研究課題
オーファン受容体のリガンド探索研究の成果として、我々は、GPR120が長鎖不飽和脂肪酸をリガンドとする受容体であり、腸内分泌細胞に発現しGLP-1の分泌に関与する重要な代謝調節受容体であることを見いだした。このGPR120が各種脂肪組織に発現していることをmRNAレベルで確認した。さらに、GPR120の脂肪細胞における機能の解析を試みた。3T3-L1細胞をモデルとし、脂肪細胞分化過程におけるmRNA量をリアルタイムPCRで検討したところ、分化過程に対応して発現量が増加することを確認出来た。さらに、分化過程の様々な時期にGPR120を活性化する脂肪酸(α-リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸)または活性化しない脂肪酸(オクタン酸など)を添加して、脂肪細胞の分化に及ぼす作用を検討した。その結果、GPR120を活性化する脂肪酸のみが細胞内への脂肪の蓄積及び増殖の抑制の両方に強く関与していることが明らかになった。またGPR120に対するsiRNAを投与したところ、脂肪細胞への分化の抑制が認められた。このことからGPR120は、脂肪細胞の分化過程に重要な役割を果たす受容体であることが示唆された。また、GPR120に特異的なアゴニスト、アンタゴニストの探索のため、化合物スクリーニングを行いGPR120に特異性を持った化合物を見いだした。さらにGPR120ノックアウトマウスの作成にも成功した。これらのツールを用いてより詳細な脂肪組織におけるGPR120の機能を検討中である。
すべて 2007 2006
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