研究課題
本研究ではフォークヘッド転写因子FoxO1の核内転写調節メカニズムを分子レベルで明らかにする目的で、その結合蛋白の同定をYeast two-hybrid screeningにより試みた。用いたbaitはマウスFoxO1のN末端でpreyに3T3-L1成熟脂肪細胞のcDNAを用いた。このscreeningにより機能未知の分子量約13万kDaの蛋白(P13)を同定し、その機能解析を行った。P13はFoxO1標的遺伝子promoterを用いたluciferase assayまた5XGAL4 luciferase assayにおいてFoxO1の転写活性を抑制し、肝細胞株において内因性のFoxO1標的遺伝子であるIgfbp1の発現を抑制した。以上からP13はFoxO1のrepressorとして働くと考えられた。P13は脂肪組織、3T3-F442A細胞の脂肪細胞への分化とともに発現が認められた。また、P13は脂肪組織において、摂食により発現が誘導され、絶食、インスリン抵抗性を有するLepr^db/dbマウスではその発現が低下していた。P13の機能を解析するため、P13のshRNAを発現するアデノウイルスベクターを作製し、分化誘導とともに3T3-F442A細胞に感染させた。内因性のP13のノックダウンにより脂肪細胞への分化が抑制され、P13は脂肪細胞への分化に必須であると考えられた。また、P13を脂肪組織において過剰発現させるトランスジェニックマウス(aP2-P13)を作製し、2ラインを解析した。白色脂肪組織で主に発現しているライン(WP13)では体重低下、脂肪組織量の低下、脂肪細胞サイズの小型化、インスリン感受性の上昇が認められた。また、褐色脂肪組織優位に発現しているライン(BP13)では、酸素消費量の増加、褐色脂肪組織におけるPGC1a、UCP-1の発現増加が認められた。以上から, P13は脂肪細胞、脂肪組織において、重要な働きをしうると考えられた。現在ノックアウトマウスはキメラの段階であり、作製完了次第、その表現型の解析を行う予定である。
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