研究課題
小胞体ストレスによって発現誘導され、小胞体ストレス誘導性のアポトーシスを調節する分子として申請者らが見出したpseudokinase TRB3が、近年、小胞体ストレスと糖尿病や肥満などの生活習慣病との連関のキー分子である可能性を探るため、今回は脂肪細胞におけるTRB3の機能について検討した。まず、3T3-L1細胞の分化におけるTRB3、およびそのファミリー分子の発現パターンを調べたところPPARγなどに遅れてその発現が増加し、分化終了時その発現は最大となることがわかった。また、その発現はTRB3の転写因子の一つCHOPの発現と連関していることが示された。一方、TRB2は分化刺激前から見られた発現が分化に伴って低下し、分化時にはその発現は消失した。次に、細胞内での脂質や糖の代謝系への影響を調べる目的で、293細胞を用いて、PPARγの活性への効果を検討したところ、TRB3はPPARγの転写活性を促進し、その効果はそのcoactivatorの一つ、PGC-1α存在下でさらに増強することがわかった。また、TRB3とPPARγとの結合が見られたのに加え、PGC-1αとの強い結合も観察された。さらに、TRB3はPGC-1αの安定性を増加させ、これはPGC-1αのユビキチン化を阻害しているためであることが示された。PGC-1αをcoactivatorとする他の転写因子PPARαやFOXO1の転写活性もTRB3が促進することが明らかとなった。以上のように、TRB3は脂肪細胞の分化とともに、おそらく分化後の脂質や糖の代謝の制御に関連していることが示唆された。
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