研究課題/領域番号 |
18052019
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
土田 邦博 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (30281091)
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研究分担者 |
上住 聡芳 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (60434594)
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キーワード | マイオスタチン / 脂肪分化 / 骨格筋分化 / メタボリック症候群 / 脂肪酸代謝 / ミトコンドリア / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
骨格筋由来のホルモンであるマイオスタチンは、骨格筋と共に脂肪細胞の増殖・分化を制御しており、マイオスタチンを阻害することで、体脂肪を減らし、骨格筋量を増やすことが可能である。フォリスタチンは、内分泌ホルモン・細胞増殖因子であるアクチビンの強力な阻害分子として解所されてきたホルモンであるがマイオスタチンも強力に阻害する。フォリスタチンに由来する分子で、アクチビンに作用を示さないマイオスタチン阻害分子を開発した。その分子群を発現させたトランスジェニックマウス(Tgマウス)を作製し解析を行なった。骨格筋量の増大と共に皮下脂肪、内臓脂肪(精巣周囲、腎周囲など)の脂肪量が著しく低下し、脂肪細胞の大きさが小さくなる事を示した。走査型及び透過型電子顕微鏡を駆使した解析から、サイズの低下した白色脂肪細胞で、脂肪滴のサイズが著しく縮小し、ミトコンドリアの量が増加するという興味ある現象を発見した。興味深いことに、Tgマウスでは、脂肪細胞でのミトコンドリアの増加に呼応して、CPT-1、チトクロームCといったミトコンドリアに存在する重要分子の増加も確認できた。また、マイオスタチン阻害マウスにおいて、脂肪酸代謝・合成に重要な酵素群であり肥満やII型糖尿病の分子標的であるアセチルCoAカルボキシラーゼとステアロイルCoAデサチュラーゼの著明な減少が確認された。これら一連の成果から、マイオスタチン阻害によって増加したミトコンドリアで脂肪酸代謝が亢進する事で、脂肪細胞が肥大化しない可能性が示唆される。
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