研究課題/領域番号 |
18053002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
南 雅文 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (20243040)
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研究分担者 |
片山 貴博 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (90399957)
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キーワード | ミクログリア / リアルタイムイメージング / 脳組織障害 / 神経細胞死 / グリア細胞 / 海馬 / P2プリン受容体 / 脳スライス培養系 |
研究概要 |
神経細胞傷害時におけるミクログリアの傷害部位への集積に関して、Iba1-EGFPトランスジェニックマウス(本特定領域研究班の高坂新一先生より供与を受けた)より作製した培養海馬スライスを用いて検討した。昨年度の検討により、局所組織傷害急性期のミクログリア突起伸長にはATPが関与するが、NMDAによる神経細胞傷害後3〜6日において観察される錐体細胞層へのミクログリア集積にはATPは関与しないことが示された。本年度は、神経細胞傷害後のミクログリアによる傷害細胞の貪食に関して検討した。傷害細胞は、propidium iodide(PI)の核内への取り込みにより可視化した。NMDA処置後、PI陽性細胞数は1〜2日後をピークとして増加し、その後、次第に減少することが明らかとなった。リアルタイムイメージングによる検討から、PI陽性細胞が、1つのミクログリアによって取り囲まれた後に消失することが観察された。さらに、ミクログリア毒であるclodronateをあらかじめ処置することで約90%のミクログリアを除去した培養スライスでは、対照群と比較してPI陽性細胞の減少が著しく抑制された。これらのことから、NMDA処置後のPI陽性細胞の減少は、ミクログリアによる貪食の結果であることが示唆された。このミクログリアの貪食作用におけるP2Y6受容体情報伝達の関与を検討するため、UDPとその分解酵素阻害薬ARL67156の存在下で、NMDA処置後のPI陽性細胞数の経時変化を検討した。その結果、UDP+ARL67156存在下においても、非存在下と比較してPI陽性細胞数の減少速度の顕著な違いは見られなかった。
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