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2007 年度 実績報告書

脳におけるグリア伝達物質(D-セリン)の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 18053008
研究機関富山大学

研究代表者

森 寿  富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (00239617)

キーワードD-セリン / セリンラセマーゼ / NMDA受容体 / 遺伝子ノックアウトマウス / 神経細胞死
研究概要

D-セリンは、グリア細胞由来神経伝達物質としてNMDA型グルタミン酸受容体の活性制御に関わると共に、神経細胞死や統合失調症などの脳病態にも関わる可能性があると示唆されてきた。しかしながら個体レベルでのD-セリンの機能は必ずしも明確になっていなかった。そこで、本研究では、D-セリンの機能を個体レベルで検証することを目的とし、D-セリンの合成を担うセリンラセミ化酵素(SR)遺伝子のノックアウト(KO)マウスを作製し解析した。SR-KOマウス系統では、ホモ接合体が得られWestern blot法によりSR蛋白質の消失を確認した。この結果から、SRは生存や発達や繁殖には必須でないことが分かった。また、脳内D-セリン量を測定したところ、野生型マウスの1/10程度に低下していた。従って、SRが脳内D-セリンの主要な合成酵素である事が明らかになった。SR-KOマウスを陰性コントロールとして、野生型マウスにおけるSRの発現分布を調べたところ、成体マウスでは終脳を中心とした神経細胞に発現していた。細胞マーカーを用いた解析により、大脳皮質や海馬においてはグルタミン酸作動性神経細胞、線条体においてはGABA作動性神経細胞に主に発現している事を見出した。さらに、SR-KOマウスにおけるNMDA受容体の機能を調べるために、大脳皮質内にNMDAを直接注入して観察されるNMDA依存的な興奮性神経細胞死を観察したところ、KOマウスでは、傷害領域が野生型に比べて有意に縮小していた。NMDAとD-セリンを共注入するとこの効果は検出されなかった事から、SRにより合成されるD-セリンが、個体レベルでNMDA受容体の機能制御に関わる事を明らかにした。これらの結果とSRが神経細胞に存在する事から、D-セリンは神経細胞由来神経機能修飾因子と考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Effects of FAK ablation on cerebellar foliation, Bergmann glia positioning and climbing fiber territory on Purkinje cells2008

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, F., Miyazaki, T., Takeuchi, T., Fukaya, M., Nomura, T., Noguchi, S., Mori, H., Sakimura, K, Watanabe M., Mishina, M
    • 雑誌名

      Eur. J. Neurosci. 27

      ページ: 836-854

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Role of D-serine in the mammalian brain2007

    • 著者名/発表者名
      Zhao YL. Mori H.
    • 雑誌名

      BRAIN and NERVE 59

      ページ: 725-730

  • [学会発表] 線条体は弱い恐怖条件付け学習に関与する2008

    • 著者名/発表者名
      岸岡歩、福島章顕、伊藤珠恵、片岡宏隆、森寿、池田敏男、崎村建司、三品昌美
    • 学会等名
      第81回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2008-03-17
  • [学会発表] 脳においてセリンラセマーゼは神経細胞に存在し、興奮毒性を制御する2008

    • 著者名/発表者名
      宮一志、趙英, らん、本郷和久、宮脇利男、森寿
    • 学会等名
      第81回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2008-03-17
  • [学会発表] セリンラセマーゼノックアウトマウスを用いた脳内D-セリンの機能解析2007

    • 著者名/発表者名
      趙英, らん、高田義美、橋本謙二、崎村建司、森寿
    • 学会等名
      第30回日本神経科学会大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2007-09-10
  • [学会発表] Study of D-serine function in vivo by establishing and analysis of serine racemase knockout mouse2007

    • 著者名/発表者名
      Zhao, Y.L, and Mori, H.
    • 学会等名
      Neuro2007 Satellite Symposium and The 2nd MCCS-Asia Symposium
    • 発表場所
      Yokohama
    • 年月日
      2007-09-08

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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