研究課題/領域番号 |
18053016
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齋藤 尚亮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (60178499)
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研究分担者 |
上山 健彦 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (80346254)
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キーワード | プロテインキナーゼC / 脳虚血 / 遺伝子操作動物 / グリア / 神経 / 性ホルモン |
研究概要 |
脳虚血障害は発症後、現有の最高の治療法を用いても重度の障害を残す例は多くあり、新たな治療法の開発が期待されている。我々は、エストロゲンが細胞膜型エストロゲン受容体を介して神経細胞特異的なプロテインキナーゼCであるγPKCを活性化することにより、虚血後においても神経保護作用を示すことを見出した。一方、グリア細胞に発現するδPKCは、そのノックアウトマウスにおいて明らかな虚血巣の縮小が見られることから、γPKCと異なり神経障害作用を示すと考えられている。これらの所見から神経細胞(γPKC)とグリア細胞(δPKC)に発現する2種類のPKCが相反する作用を示し、グリア-神経ネットワークにおける情報伝達機構が神経保護に関わっていることが推測される。本研究では、これら相反する作用を有する2種類のPKCサブタイプの虚血時の神経保護(障害)における役割を明らかにすることによって、脳虚血時のニューロン-グリアのネットワークを解析することを目的とした。 我々はγPKC-KOマウスおよびδPKC-KOマウスを入手し、脳内へのPKC分子の発現のための種々のウイルスの作製を行った。さらに、テトラサイクリン制御システム遺伝子導入動物(Tet-Op system transgenic mice)を用いたトランスジェニックマウスの作製に成功し、脳部位・時期特異的にγPKC-GFPあるいはδPKC-GFPを発現させることに成功した。また、ミクログリアに特異的にPKC分子を発現させるためにIba1プロモーターを用いて、Iba1-Creマウス作製を行っている。これら遺伝子操作動物を用いて、グリアあるいはニューロンに発現させたγPKCまたはδPKC-GFPの虚血時における神経保護作用、神経-グリア問の情報伝達クロストーク機構を解明する予定である。
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