研究概要 |
私達は,18年度中に巨大超分子の構造解析の特徴に応じて,並列処理の機能を自動精密化ソフトウェアLAFIREに加えることに成功した.巨大超分子構造解析の特徴の1つとしては,分子量が数百万から,数千万,さらに1億Daまでに及ぶため,データ量が膨大であり,構造解析の計算時間もかなりかかる.その問題を解決するために,LAFIREの並列処理機能の開発を進めてきた.LAFIREを用いて巨大分子を自動精密化する場合には,部分構造構築及びフィッティングに使われている電子密度マップデータが膨大であるため,コンピュータのCPUパワーだけではなく,大容量のメモリも要求される.従って,LAFIREの並列処理には,on-line(1台コンピュータに多CPUの並列処理)ではなく,同種類あるいは異なるOSの複数台コンピュータを用いたoff-line並列処理(多メモリ,多CPU)が適用である. 並列処理を加えたLAFIREでは,計算時間がかかる部分構造構築とフィッティングを,1つのドメイン或いは1分子を単位として独自に数台のコンピュータを用いたoff-line並列処理で行い,それぞれ構築フィッティングしたモデルを集めて,精密化する.分割したジョブの管理は市販のPBSソフトを利用して行われる.並列処理を導入した精密化の応用例はDrp35という蛋白質である.この蛋白質においては,非対称単位中に分子量が35kDaの12コピーで,合計420kDaであり,Se-SAD法により構造が解析された.LAFIRE(この場合は精密化プログラムCNSを使用した)を用いて精密化が自動的に行われたが,計算時間がかなりかかった.ところが,精密化の第2段階で3台のコンピュータを用いた並列処理によって,10日から6日まで短縮することができた.
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