研究課題
生体試料から調製したExocyst複合体やサブ複合体はサブユニット構成が不明であり、現段階では単粒子解析による立体像の決定は難しい。しかし、組み換えタンパク質を用いて再構成した複合体の像との比較によって、生体試料から得られた像の解釈が可能になると考えられる。バキュロウイルスの発現系を用いて複合体の再構成を行うべく、組み換えベクターの構築を進めた。今年度は、ラットの4つのサブユニット、ショウジョウバエの7つのサブユニットをバクミド組換え用のベクターに組込み終えた。Exocystの構造解析を進めると共に、研究分担者の京大医・堀内久徳講師との共同研究によりExocyst複合体とRalとの相互作用が血小板の顆粒放出を制御していることを新たに示した。また、Ralの新規結合タンパク質の同定・解析も進めた。出芽酵母のExocyst複合体は、Sec15pサブユニットを介して、酵母のRab GTPase Sec4pとその活性化タンパク質であるグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)Sec2pと相互作用する。我々は、まず、Sec2pのGEFドメインの結晶構造を3.0Å分解能で決定し、GEF反応が180Åの長さの単純なコイルドコイル構造によって行われることを明らかにした。さらに、欠失変異体や点変異体を使った結合アッセイおよびGEFアッセイにより、Sec4p結合サイトと結合に必要なアミノ酸残基を特定した。GEFドメイン単独の結晶構造と生化学的解析の結果に基づいて発現系を設計し、Sec2pのGEFドメインとSec4pの複合体の結晶構造を2.7Å分解能で決定し、ヌクレオチドの解離を促進させるSec4pのスイッチ領域の大きな構造変化が複合体形成によって引き起こされる仕組みを原子分解能レベルで明らかにした。
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