研究概要 |
モバイル・ドメインのアクチン・フィラメントへの結合部位が決定できた結果,トロポニンのコアドメイン全体のドッキングにも成功し,弛緩時のアクチン・トロポミオシン・トロポニンの擬似原子モデルを構築した。このモデルはアクチン4分子,トロポニン2分子(但しコアドメインとモパイルドメインのみ),トロポミオシン2分子(但し全体の2/7のみ)を含んでいる。 複合体共結晶構造解析を進めている。複合体を構造解析し,トロポミオシンのN端領域の温度因子は大きいことが分かり,電顕マップにあるトロポミオシンの途切れた部分はトロポミオシンのN端領域に対応すると解釈した。トロポミオシン分子はコイルドコイルを構成し,その横断面は楕円であり,それに対応する電顕マップ密度も楕円であり,軸周りの回転角もドッキング過程で決定できた。この構造情報を使い,アクチン・トロポミオシン複合体の原子モデルを分子動力学計算で求めた。この結果,収縮可能状態(高Ca濃度状態)のアクチン・トロポミオシンの擬似原子モデルを構築できた(アクチン14分子,トロポミオシン2分子)。その結果,1分子のトロポミオシンは7つのアクチン結合部位を持つが,N端側の4個とC端側の3個では結合様式が異なることが分かった。この擬似原子モデルの妥当性を共結晶解析,相互作用部位に変異を導入したタンパク質を用いて吟味している。
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