研究課題/領域番号 |
18055001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安元 研一 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助教授 (90241629)
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研究分担者 |
十川 和博 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (80175421)
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キーワード | 薬物応答 / 転写因子 / 遺伝子調節 / 蛍光顕微鏡 / FLIM-FRET / AhR / LBP-1 / CYP1A2 |
研究概要 |
蛍光の寿命の変化を測定するシステムとして、ピコ秒パルスレーザー・蛍光顕微鏡・時間空間相関単一光子計数検出器・時間電圧変換器を組み合わせたFLIM-FRET測定システムの開発を進めた。このシステムはFRETによる蛍光強度の変化を測定する従来の手法が、生体分子間の相互作用の有無を検出するに留まるのに対して、蛍光寿命の変化はタンパク質問の距離の変化に依存することから、生体分子の構造変化や相互作用の変化を測定できる利点がある。 このFLIM-FRET測定システムを用いた解析対象として、外来薬物3-Methylcholanthrene(3-MC)をリガンドとする薬物受容体AhRとそのパートナー因子Arntによる標的遺伝子の活性化機構の解析を行った。AhRのリガンド3-MCとの結合に必要なアミノ酸を置換導入実験により解析し、別のリガンドであるβ-Naphthoflavone(βNF)との結合には機能しないアミノ酸としてF318を同定した。そして様々なアミノ酸置換実験により未だ立体構造が報告されていないAhRのリガンド結合領域のコンピューターシミュレーションによる立体構造を提唱した。この結果からリガンドとの結合によるAhRの構造変化をFLIM-FRET測定システムにより検出することを現在試みている。 さらにArntの核内における局在と二量体形成との関連についてこのシステムによる解析を行い、核内スペックルにおいてホモ二量体を形成しているがその他の核内領域ではホモ二量体は形成されていないことを見いだした。この結果からArntのホモ二量体形成は何らかの生理的な機能を持っていることが示唆された。
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