研究課題
本年度は、研究計画として掲げた3点について、以下の成果が得られた。(1)小Maf群因子のSUMO2/3による修飾を制御するメカニズムの解明小Maf群因子のSUMO2/3修飾の機能的意義の検討:マウスに抗血小板抗体を投与して、末梢血中の血小板を減少させて、血小板形成を亢進させてみる、あるいは、トロンボポエチン投与により巨核球増殖を亢進させてみる、ということを行い、骨髄における小Maf群因子のSUMO化の程度を検討したが、あまり変化は認められなかった。しかし、培養細胞で、アポトーシスの進行に伴い、小Maf群因子のSUMO化修飾が促進されることが明らかになった。血小板形成過程は、局在化したアポトーシス様の過程であると理解されることから、小Maf群因子のSUMO化修飾が関係している可能性があると思われる。(2)小Maf群因子MafGのC末端領域(GCR)が規定する核内環境の解明巨核球において小Maf群因子のGCRの重要性が明らかになったので、その領域に相互作用する因子を探索した。まず、GSTとの融合蛋白質GST-GCRを作成し、骨髄細胞の核抽出液中で相互作用する因子を探そうとしたが、得られなかった。GCRは、蛋白質を核マトリックス、すなわち、不溶画分に局在化させる機能があるため、相互作用する因子も、可溶化されにくいものと考え、酵母two hybrid screeningを行った。ベイトとして、GCRのみを用いたところ、クローンをえることはできなかった。そこで、全長MafGをベイトとして、クローンを得て、それらがGCRを欠くMafGΔCと相互作用しない、というものを得ることにした。その結果、巨核球におけるMafGの2量体形成相手分子であるNF-E2 p45が、全長MafGとは結合するものの、MafGΔCとは結合しないということがわかった。興味深いのは、NF-E2 p45の関連因子であるNrf2は、やはり、MafGとヘテロ2量体を形成して酸化ストレス応答に重要な遺伝子の活性化をすることがわかっているが、Nrf2は、MafGΔCとも結合するということである。すなわち、GCRは、2量体形成相手分子の選択に貢献している可能性が示唆される。
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