研究課題
環境変化応答の破綻は自己の生存を危機に曝すため、生物は緻密な応答機構を有している。転写制御はその中核をなすシステムの1つである。微量金属である鉄は必須の栄養素であるとともに、酸化ストレスの原因となるため、その代謝は厳密な制御を受ける。出芽酵母の鉄代謝調節機構は、その中核をなす転写因子であるAft1が、鉄依存的に核外移行することでその活性調節を受けることで制御されている。そこで、本研究ではAft1の鉄依存的核外移行機構について解析を進めた。まず、Aft1のアミノ酸147-270、304-498の2つの領域が鉄依存的に鉄依存性に二量体を形成することがAft1の核外移行担体であるMsn5との結合に重要であること、アミノ酸304-498に存在するトレオニン残基が2量体形成に関与することを示した。また、その2つの領域の間に位置する、Cys291が二量体形成に重要であることを示した(投稿中)。さらに、細胞質、核における鉄-硫黄クラスター輸送に関与することが示唆されているGrx3/4、Nbp35変異株ではAft1の核外移行が阻害されること、Grx3/4、Nbp35がAft1と結合することを示すとともに、Cys291がそれら分子とAft1との結合に重要であることも明らかにした(投稿準備中)。Cys291変異Aft1が核に局在すること、Cysが鉄-硫黄クラスター形成の形成に関与するアミノ酸残基であることを考え合わせれば、Aft1はCys291を介して鉄をおそらくは鉄-硫黄クラスターの形で感知し、鉄依存的に二量体形成し、核外移行すると考えられた。
すべて 2006 その他
すべて 雑誌論文 (4件)
The Journal of Biological Chemistry 281
ページ: 17743-17750
Genomics, Proteomics & Bioinformatics 4
ページ: 1-9
ページ: 7384-7391
Molecular Biology of the Cell (In revision)