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2006 年度 実績報告書

転写因子制御による血液細胞の増幅とその利用

研究課題

研究課題/領域番号 18055020
研究機関大阪大学

研究代表者

北島 健二  大阪大学, 医学系研究科, 特任助教授(常勤) (10346132)

研究分担者 仲野 徹  大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00172370)
キーワード転写因子 / 赤血球 / 胚性幹細胞 / 細胞分化 / 巨核球 / 分化多能性 / 自己複製 / エリスロポエチン
研究概要

赤血球・巨核球の細胞分化に必須な転写因子GATA-1を欠損した赤血球系細胞が、試験管内で自己複製能・分化多能性を有することを見出した。GATA-1欠損赤血球系細胞の自己複製には、OP9ストロマ細胞及びエリスロポエチンが必須であり、どちらかの因子を欠くと細胞は速やかにアポトーシスを生じた。この自己複製し続ける細胞の大部分は、前赤芽球様の細胞であることがRT-PCRによる遺伝子発現解析、フローサイトメーターによる細胞表面抗原解析、塗抹標本による形態的観察から明らかとなり、さらに外来性GATA-1遺伝子の強制発現により短時間で赤血球へ最終分化を行うことから最終分化直前の細胞であると考えられた。次いで、この細胞における転写因子の発現を調べた結果、顆粒球・マクロファージなど骨髄球系細胞の分化を制御しているPU.1(Sfpi-1)、c-mybの発現が野生型赤血球系細胞に比べて増加していた。Bリンパ球分化に必須な転写因子Pax5を欠損したBリンパ球系前駆細胞は、Tリンパ球・マクロファージなどの細胞に分化することができる分化多能性を示すことが報告されている。このことから、GATA-1欠損赤血球系細胞においても、他の細胞系列へ分化することができる分化多能性を有している可能性が考えられた。そこで、GATA-1欠損赤血球系細胞を骨髄球系細胞の増殖・分化を支持する環境下で培養した結果、好中球・マクロファージ・マスト細胞へ分化することが判明した。一方、巨核球(血小板産生細胞)、B・Tリンパ球への分化は認められなかったことから、GATA-1欠損赤血球系細胞の分化多能性はある程度制限されているものと考えられた。さらに、好中球分化に必須な転写因子C/EBPをGATA-1欠損赤血球系細胞へ過剰発現させると、細胞はエリスロポエチン存在下においても好中球へ分化することが明らかとなり、GATA-1欠損赤血球系細胞はエリスロポエチン存在下において既に分化多能性を有しているものと考えられた。以上の結果から、GATA-1は、赤血球系細胞の分化系列決定に必須であり、GATA-1欠損により赤血球系細胞は好中球などの骨髄球系細胞への分化することができる分化多能性を獲得することが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Differential effects of GATA-1 on proliferation and differentiation of erythroid lineage cells2006

    • 著者名/発表者名
      Zheng J
    • 雑誌名

      Blood 107

      ページ: 520-527

  • [雑誌論文] Redirecting differentiation of hematopoietic progenitors by a transcription factor GATA-22006

    • 著者名/発表者名
      Kitajima K
    • 雑誌名

      Blood 107

      ページ: 1857-1863

  • [雑誌論文] Multipotential differentiation ability of GATA-1-null erythroid-committed cells2006

    • 著者名/発表者名
      Kitajima K
    • 雑誌名

      Genes & Development 20

      ページ: 654-659

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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