研究課題/領域番号 |
18055029
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
黒川 理樹 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70170107)
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研究分担者 |
荒井 重紀 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10383259)
徳澤 佳美 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (20406531)
日吉 裕美 埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (10406530)
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キーワード | 酵素 / 発現抑制 / 核酸 / 遺伝子 / 蛋白質 |
研究概要 |
本研究の目的は、RNA依存性転写抑制の分子機構解析と細胞内での生理的意義の解明である。我々の解析から脂肪肉腫関連遺伝子TLSにはヒストンアセチル化酵素(HAT)阻害活性が同定され、この活性がRNA結合により増強されることが示された。本年度の研究計画2件についての結果を以下に示す。1)HAT阻害因子TLSの標的遺伝子のプロモーター解析 TLSはcAMP依存性転写因子CREBの誘導する転写活性を特異的に阻害した。この転写阻害は、CREBに結合するCREB結合タンパク質(CBP)HATを阻害するために惹起される。報告されている約250種のCREB標的遺伝子を定量PCR法で解析すると、cyclin D1及びE1の発現量がTLS存在下で減少した。そこで、siRNAおよびクロマチン免疫沈降法を用いて、TLSのcyclin D1プロモーターに対する結合を解析すると、フォルスコリン刺激によりTLSがプロモーターから解離することが示された。また、TLS存在下で近傍のヒストンアセチル化が抑制され、また、TLS解離により、この抑制が解除された。この結果から、TLSはcyclin D1を標的遺伝子とし、転写抑制作用を有することが示された。2)TLS結合性RNAの同定と性状の解析これまでの解析で、GGUG配列を有するRNAがTLSに特異的に結合することが判明した。TLSのmRNAには多くのGGUG配列が見出され、さらに、cyclin D1プロモーター中にもGGUG配列が同定された。これらのRNAのcyclin D1遺伝子発現に対する効果を検討すると、cyclin D1プロモーター配列からの転写産物がTLSに結合し、HAT活性を抑制することが判明した。すなわち、cyclin D1プロモーターからは非コードRNAが転写され、TLSを介した転写抑制作用を有することが強く示唆された。現在、これらの結果を投稿し、Reviewer Commentに対応中である。
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