研究課題/領域番号 |
18055034
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
小川 英知 基礎生物学研究所, 性差生物学研究部門, 助教 (20370132)
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研究分担者 |
土屋 惠 国立成育医療センター研究所, 移植・外科研究部, 研究員 (00390691)
小松 朋子 基礎生物学研究所, 性差生物学研究部門, 特別協力研究員 (10414020)
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キーワード | 転写因子 / 核内レセプター / クロマチン / SUMO化修飾 / 転写制御 / 核内構造 |
研究概要 |
遺伝情報読み出し(DECODE)機構は多段階の周期的なステップを経て厳密な制御がなされていると考えられる。我々は、このDECODEシステムの解明のため、核内受容体の翻訳後修飾であるSUMO化修飾依存的な抑制活性に着目した。生殖腺の分化に必至な転写因子Ad4BPがSUMO化依存的に転写抑制を受けることから、Ad4BPのSUMO化特異的に結合する因子として、クロマチンリモデリング活性を有すると推測されるSCFを同定し、転写因子のSUMO化修飾の機能を明らかにしてきた。本研究課題では、SCFの転写制御機構とSUMO化修飾の意義を明らかにするために、SCFのsiRNAによるノックダウンを行った細胞を用い、経時的なレポーターアッセイおよびクロマチン免疫沈降を行った。Ad4BPの標的であるStARのプロモーター領域をもったレポータープラスミドを用いて転写活性化能を経時的に検定した結果、SCFのsiRNAによって内在のSCFをノックダウンした場合には、転写活性の一過的な促進が見られた。これらの結果はSCFが非常に短時間に、一過的にAd4BPの転写活性化能において抑制的に機能するコファクターであることを意味する。同様の実験系を用いて、Ad4BPを介してSCFがStARプロモーターに結合するかどうかを調べたところ、転写の一過的な抑制が検出される直前にSCFの一時的なプロモーターへのリクルートが観察された。以上より、SCFは高次に制御されたDECODEシステムの重要なプロセスの一つであり、おそらくは転写の暴走を防ぐ防御機構として働いていると考えられる。本研究成果は、転写制御において新規の分子機構を明らかにしたものであり、この制御機構が生体に及ぼす影響を生殖腺の形成をモデルシステムとして解析することで、DECODEシステムの解明において新規の概念を提唱できると考えている。
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