1.ヒメツリガネゴケNRT2分子種の機能分化 ヒメツリガネゴケの4つの主要NRT2分子種のうち、NRT2;1、NRT2;2およびNRT2;4が高親和性の硝酸・亜硝酸イオン輸送体であり、NRT2;3が低親和性の硝酸イオン輸送体であることを明らかにした。 2.窒素条件に応答したヒメツリガネゴケNRT2分子種組成の調節機構 窒素欠乏条件下で高親和性の3種のNRT2分子種が優先的に発現するのに対し、十分量の硝酸イオンの存在下では低親和性のNRT2;3がNRT2の主要成分になることを見出した。さらにこの制御が、高親和型NRT2遺伝子と低親和型NRT2遺伝子のフィードバック阻害への感受性と硝酸イオンへの依存性の違いによることを明らかにした。 3.PpNRT2;3の構造と機能の解析 NRT2;3の推定リン酸化部位をアラニンに置換したST1(S414A)、ST2(S507A)、ST3(S516A)の3種の変異株の性質を調べ、S^<414>がNRT2;3の活性発現に特に重要であることを明らかにした。 4.AtNRT2;1遺伝子のプロモーター解析 GUS遺伝子をレポーターとしてシロイヌナズナのAtNRT2;1のプロモーターの構造を解析し、窒素への応答に必要なのは翻訳開始コドンから数えて上流側966番目から495番目の領域であり、糖への応答に必要な領域とは異なることを明らかにした。 5.LtnTの構造と機能の解析 ラン藻で見出された新規の低親和性硝酸イオン輸送体LtnTにランダムな変異を導入し、硝酸イオンに対する親和性を向上させるアミノ酸置換を5種特定し、さらにこれらの変異を組み合わせることで、硝酸イオンに対する親和性を相乗的に向上させることに成功した。
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