研究課題/領域番号 |
18056009
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
小畑 仁 三重大学, 大学院生物資源学研究科, 教授 (70024594)
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研究分担者 |
水野 隆文 三重大学, 大学院生物資源学研究科, 助教授 (50346003)
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キーワード | トランスポーターファミリー / ZIP / NRAMP / 重金属超集積性植物 / タカネグンバイ / コシアブラ / ニッケル / マンガン |
研究概要 |
本研究は、特定の植物に特定の金属が集積される現象(重金属超集積性)における代表的な金属輸送膜タンパク質ZIPおよびNRAMPファミリートランスポーターの関与を明らかにし、植物の金属濃度恒常性維持における各トランスポーターファミリーの役割解明を目的とするものである。 ニッケル超集積性を持つタカネグンバイ、およびマンガンを集積するコシアブラを用い、ZIP/NRMPトランスポーターの機能解析を進めた。タカネグンバイ由来ZIPトランスポーターTjZNT1/2のニッケル耐性メカニズムについて解析するため、各トランスポーター遺伝子を発現する酵母のニッケル排出能を測定した結果、TjZNT1発現酵母において亜鉛集積量の急激な上昇と共にニッケル排出量の有意な上昇を認めた。これらの結果より、TjZNT1が亜鉛の取り込みによって細胞外へのニッケル排出を促進し、細胞のニッケル耐性を向上させることが示唆された。また植物体内におけるTjZNT1/2およびTjNRAMP4の働きについて明らかにするため、各遺伝子をシロイヌナズナに導入した。現在組み替え植物より種子を採取し経代栽培を進め、安定した発現系統を作成中である。マンガン超集積性を持つコシアブラについては、今年度はマンガン吸収機構についての基礎的データをまとめ、本植物のマンガン特異的な吸収能力と、根圏におけるマンガン可溶化メカニズムについて明らかにした。さらに、本植物からZIPおよびNRAMPのホモログ遺伝子を一種類ずつ単離することに成功し、それぞれCsZIP1およびCsNramp1と命名した。酵母を用いた検証では、タカネグンバイ由来のトランスポーターと同様にZIP1についてはニッケル耐性の上昇、Nramp1についてはニッケル感受性の上昇を認めた。一方、両遺伝子ともマンガン・カドミウム及び亜鉛の輸送能力は確認されず、本植物のマンガン超集積性への関与を明らかにすることはできなかった。
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