研究課題/領域番号 |
18056011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 優 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60281101)
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研究分担者 |
間藤 徹 京都大学, 農学研究科, 教授 (50157393)
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キーワード | ペクチン / 細胞壁 / 養分吸収 / ホウ素 / ラムノガラクツロナンII / 細胞壁結合型キナーゼ / CTP:KDOシチジル酸転移酵素 / KDO |
研究概要 |
植物の養分吸収や環境応答における細胞壁、特にペクチンの役割を明らかにするため、ペクチンの機能と性質に関する以下の研究を行なった。 (1)ラムノガラクツロナンIIの生合成と機能に関する研究 ペクチンの一種ラムノガラクツロナンII (RG-II)の構造に変異を持ち、多糖の高次構造が攪乱された植物の表現型を解析しようと考えた。このためにRG-IIの特異的構成糖KDOの生合成に必要な酵素CTP:KDOシチジル酸転移酵素(CKS)についてT-DNA挿入変異株をスクリーニングしたが、CKSの欠失は雄性不稔をもたらしホモ変異株は得られなかった。雄性不稔の原因を明らかにするため+/cksヘテロ接合体の花粉についてviability・形態を観察したが異常は認められなかった。この結果は、cks変異は花粉の形成・発達ではなく花粉管の伸長段階を阻害することを示唆する。 またCKSタンパク質の局在部位について検討し、ミトコンドリアに局在することを示した。 (2)細胞壁結合型キナーゼ-ペクチン質多糖複合体に関する研究 膜貫通型受容体キナーゼの一種で、ペクチンと結合した細胞外ドメインを持つ細胞壁結合型キナーゼ(wall-associated kinase; WAK)の生理機能について研究した。前年度クローニングしたタバコ培養細胞BY-2のWAKホモログNtWAKL1の生化学的性質について検討した。NtWAKL1のC末端にGFPを融合させたタンパク質をCaMV 35Sプロモーターを用いタバコBY-2細胞に発現させたところ、GFP蛍光は細胞表層に観察され、このタンパク質が原形質膜に結合していることが確認された。細胞を原形質分離させると蛍光の大部分は表層から離れたが一部は細胞壁に残り、NtWAKL1-GFPが原形質膜・細胞壁の双方に結合している可能性が示された。
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