研究概要 |
平成19年度には、18年度に確立した無細胞蛋白質合成技術を応用したプロテオリポソーム再構成系を用いて、ホスホエノールピルビン酸(PEP)の葉緑体内膜輸送を司るトランスポーターArabidopsis PPT1ならびにTPT(triosephosphate transporter)をコントロールとして、イネのPPT1ホモログ3種類(OsPPT1,OsPPT2,OsPPT3)の輸送基質特異性を明らかにした。イネPPT蛋白質は予想した通りPEPをリン酸対向輸送の主な基質とするトランスポーターであり、PPT1およびTPTの輸送活性が、基質特異性、比活性ともに、酵母を利用した組換え蛋白質の再構成実験より報告されている数値と同等であることを明らかにした。以上より、本課題で確立した無細胞蛋白質合成技術が膜蛋白質の機能解析に有効であることを確認した。平行して、再構成膜輸送蛋白質を精製する技術として一般的なスクロース密度勾配法に加えて、アキュデンツ(accudenz)を用いた密度勾配超遠心分離法による分画法を無細胞膜蛋白質合成系に導入した。アキュデンツ密度勾配系では、下層に分画すべきリポソームサンプル層を形成させ、超遠心分離操作中に下層から最上層ヘリポソーム画分を移動させ、可溶性タンパク質は最下層に残すことが可能となる。可溶性のGFP(green flourescent protein)が最下層に留まるのに対し、PPT1はリポソームと共に最上層へ移動していることが確認され、この系がプロテリオリポソーム分離精製法として有効であることを確認した。
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