研究概要 |
最近我々が同定した新規ARF GAP (ADP ribosylation factor GTPase activating protein)のSMAP1とSMAP2は、これまで報告されているARF GAPとは蛋白質レベルでの相同性が低く、小胞を被覆するクラスリンと直接結合する点でユニークな存在である。培養細胞を用いて、1)SMAP1はARF6特異的と考えられ、ARF6とクラスリンに依存した細胞外から細胞内への輸送を担うエンドサイトーシスを制御することを、2)SMAP2は細胞内で働き、エンドソームとTGNとの間の小胞輸送を制御していることを明らかにした。さらに最近作製した遺伝子欠損(KO)マウスの予備的な解析から、SMAP2ホモ欠損マウスはオスが不妊で、あることを発見している。遺伝子欠損マウスの異常の分子メカニズムを探るために、SMAP2と相互作用する因子の検索を行い、SMAP1、CALM(Clathrin Assembly Limphoid Leulemia)などいくつかの候補遺伝子を取得した。そのうち、CALMとの相互作用に必要なSMAP2側の領域を決定した。SMAP1のconditional KOマウスがついに完成した。全身でSMAP1を欠損させたところ、驚いたことにホモの個体は成育したが、造血系の異常(白血病の前段階)の様相を示している。先に述べたようにSMAP2の相互作用候補遺伝子としてSMAP1が取れてきたことから両者のクロストークを想定して、SMAP1, 2のdouble KOマウスの作出を試みている。SMAP2のホモの雄が不妊であるので、SMAP1(-/-):SMAP2(+/-)同士のかけ合わせを行い50匹の子供を調べたが、double KO個体がいまだ見つかっていない。胎生致死の可能性が濃厚である。
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