研究概要 |
ロイコトリエンB4第一受容体BLT1のGタンパク質共役部位の同定 BLT1受容体はGiとG16という薬理学的に異なる三量体Gタンパク質を活性化することが知られているが、BLT1のどのドメインが両者を区別しているのかは明らかではなかった。BLT1のGタンパク質共役部位を同定する目的で、BLT1の細胞内ループの4アミノ酸を一単位として、全てアラニンに置換した変異受容体を合計14個作成し、おのおのの変異型受容体の細胞内シグナル伝達を観察した。第三細胞内ループのアミノ末端に存在するi3-1に変異を加えたBLT1は、G16を正常に活性化するが、Giは全く活性化出来ず、この部位でGiタンパク質を認識していることが明らかとなった。i3-1変異型BLT1は細胞内カルシウム上昇は正常であるが、アデニル酸シクラーゼの抑制とLTB4に対する細胞走化性を消失しており、Giタンパク質の活性化ができないことを裏付けている。興味深いことにGiを活性化出来ない変異BLT1は、高親和性のLTB4結合能を失っており、Giタンパク質との共役によって高親和性の構造をとることが明らかとなった。ロドプシンの立体構造を元に分子モデリングを行ったところ、i3-1の部位は、これまでに考えられてきた細胞内ループではなく、ヘリックス5の末端を形成していることが推定され、Gタンパク質共役型受容体と三量体Gタンパク質の共役に関して新しい知見をもたらした(Kunieda, J. Biol. Chem. 2007)
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