研究概要 |
生体内では,自己由来の除去すべき細胞が頻繁に出現する。これらの細胞には生理学的細胞死が誘導され,近隣の食細胞による認識される。食細胞が標的細胞を丸ごと取り込み消化することで生体内の恒常性が保たれている。取り込みには,食細胞内の低分子量G蛋白質を介する細胞骨格再編成が必要だが,その詳細は不明であり,本研究はG蛋白質を介する貪食経路解明を目的とする。今年度は,貪食誘導性受容体のクラスBスカベンジャー受容体タイプI (SR-BI)の貧食経路を解析した。 1)SR-BIに結合する貪食誘導性アダプター分子の同定 線虫遺伝学より,貪食誘導細胞内経路は二系統に分かれ,アダプター蛋白質のCED-6またはCED-2を出発点とする。酵母ツーハイブリッド法およびin vitro結合アッセイの両者により,SR-BIのカルボキシル末端付近とCED-6の哺乳動物オルソログGULPとが結合することが判明した。 2)SR-BIを介する貪食を行う低分子量G蛋白質の同定 SR-BI依存の貪食にどのG蛋白質が利用されているのかを調べるため,SR-BIを外来発現させたマクロファージ株J774A.1細胞に,各低分子量G蛋白質のドミナントネガティブ体発現ベクターを導入し,アポトーシス細胞貪食効率を比較検討した。その結果,Rac1がSR-BIを介する貪食を誘導することがわかった。
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