研究課題/領域番号 |
18058007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大杉 美穂 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00332586)
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研究分担者 |
西住 紀子 東京大学, 医科学研究所, 技術専門職員 (30396882)
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キーワード | 細胞生物学 / 減数分裂 / 体細胞分裂 / 卵割 / 染色体分配 / ノックアウトマウス / クロモキネシン |
研究概要 |
クロモキネシンKidは分裂期を通し、染色体整列、紡錘体長の維持、分裂後期の染色体動態と核形成など複数の役割を担うモーター分子である。また、Kid欠損マウスを作製したところ、Kidの欠損は体細胞分裂よりも卵割期の分裂に、より深刻な影響を与えることを示唆する結果を得た。本研究はKid欠損マウスを用い、Kid欠損が減数分裂、卵割、体細胞分裂に与える影響を解析することを通し、それぞれの分裂期における染色体分配機構の違いを明らかにすることを目的とし、本年度は以下の点について明らかにした。 1)129系統とC57BL/6系統のミツクスバツクグラウンドにおいて、Kid-/-胚は8細胞期まではメンデルの法則に従う割合で確認されるが、すでに2細胞期からKid-/-胚の約半数には分裂異常が原因と考えられる核形成異常(多核、微小核)が見られた。Kid-/-胚盤胞はメンデルの法則から予想される数の約半数しかおらず、その後の胚、生誕数もKid-/-は予想の約半数であった。2)しかし、すべてのKid-/-胚盤胞は野生型のものと同様の正常な核形態、胚形態を示していた。また、E14.5日胚由来のKid-/-のmouse embryonic fibroblastの増殖も野生型と遜色なかった。従って、Kid-/-胚は初期の卵割期の分裂に異常を来たし、約半数では発生が止まってしまうが、それ以降の体細胞分裂は顕著な異常を生じず、胚盤胞まで生育した胚はそのまま正常に生誕することが示唆された。3)生誕後のKid-/-マウスは成体になるまで外見上の異常は見られず、生殖も可能であった。Kid-/-の精子形成、および減数第2分裂中期で停止した成熟卵の形成には、数、形態、運動能において顕著な異常はみられなかった。従って、Kidは減数分裂には必須ではなかった。
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