本研究では、1)時間経過のイメージングが可能な新規プローブの開発、2)MDR1変異によるdoxycycline体内動態への影響の検出、の2つのテーマを同時進行で進めている。 1)新規プローブの開発について、EGFPのかわりに、時間経過に伴って波長特性が変化するColor timer、および光照射によって波長特性が版かできるKaedeを用いたプローブを開発した。その結果、Color timerを用いたプローブは、EGFPの場合に比べて、dox非添加時のバックグラウンドの蛍光強度が非常に減弱しており、より高感度に薬物検出が可能であることが明らかとなった。これはColor timerのもとになっているDsRedでも同様であり、その理由として、dox非存在下での分解速度が著しく上昇していることが原因であることがわかった。一方、Kaedeを用いた場合には、同様にdox非添加時のバックグラウンド蛍光が低いのみならず、dox添加時の蛍光強度の上昇も早く、分解に加えてプローブの成熟も早いことが示唆された。これらのことは、当初の目的通りColor timerやKaedeを用いることでプローブの性能が向上し、時間経過の解析に適していることを示している。 2)MDR1変異マウスの解析に着手する前に、まず培養細胞レベルでMDR1のdox輸送機能の解析を実施した。その結果、MDR1を過剰発現させたヒトHEp-2細胞では、dox検出プローブの蛍光強度が減弱することが明らかとなり、MDR1によるdoxの排出が起こっていることが確認できた。
|