CIN85ノックアウトマウスの多動の解析 CIN85(Cbl-interacting protein of 85 kDa)はRING型のubiquitin ligaseとして機能するCblと相互作用を持つアダプター蛋白質として同定され、現在その発現や機能が相次いで報告されている。我々はこの分子の個体における生理的意義を明らかにする目的でCIN85ノックアウトマウスを作製した。CIN85ノックアウトマウスは行動学的に「多動性」示す。この分子メカニズムにおける解析を行い以下の結果を得た (1)CIN85ノックアウトマウスと野生型マウスの線条体初代培養においてドーパミン刺激後、細胞膜表面に存在するドーパミン受容体を同定した。ドーパミン受容体の細胞内へのインターナリゼーションは野生型に比べCIN85ノックアウトマウスでは有意に減少していた。 (2)トリチウム標識したドーパミン受容体アンタゴニストである[3H]Spiperoneを用いた解析においてもドーパミン受容体の細胞内へのインターナリゼーションは野生型に比べCIN85ノックアウトマウスでは有意に減少していた。 (3)CIN85はSynaptosomeでEndophilinやDynaminなどのエンドサイトーシスに関する制御タンパク質と結合している。 以上から、CIN85ノックアウトマウスの多動は脳内線条体のドーパミン系の異常によるものと推察される。現在、これまでの研究結果を論文として投稿する準備をしている。
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