1.ClC-3のN末端のバリアントを2種類(ClC-3-NT1、-NT2)単離した。いずれのバリアントにもClC-3AのC末端を持つものとCIC-3BのC末端を持つものがあり、それぞれ、ClC-3A-NT1、-NT2、およびClC-3B-NT1、-NT2とした。2.これらの遺伝子をJurkat細胞およびHeLa細胞に過剰発現させた場合の遊走能の変化をトランズウェルを用いたmodified Boyden chamber assayで検討した。いずれの細胞株においても、ClC-3B、ClC-3B-NT1、ClC-3B-NT2、ClC-3A-NT1およびClC-3A-NT2を過剰発現させた場合に遊走能が亢進した。3.これらの遺伝子をHeLa細胞およびHT-1080細胞に過剰発現させた場合の浸潤能の変化を、Matrigelをコートしたトランズウェルを用いて検討した。いずれの細胞株においても、ClC-3B-NT1、ClC-3B-NT2を過剰発現させた場合に浸潤能が亢進した。4.HeLa細胞およびHT-1080細胞に内因性に発現するClC-3をsiRNAを用いてノックダウンした場合の遊走能・浸潤能の変化を検討した。いずれの細胞株においても、ClC-3をノックダウンした細胞では対照に較べて遊走能、浸潤能ともに抑制されていた。以上の結果から、ClC-3のバリアントが細胞運動に関与している可能性が示唆された。5.ClC-3BはEBP50と結合し、membrane ruffleのleading edge(先進膜端)に局在する。先進膜端には細胞運動に関与する蛋白が多く局在することが知られている。これらの蛋白とCIC-3Bが蛋白複合体を形成する可能性を考え、抗ClC-3B抗体を用いて免疫沈降を行なったところ、MT1-MMPが共沈した。現在、その生理的意義について検討中である。
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